腱鞘炎・ドゥケルバン病・ばね指

腱鞘炎とは

手や指を動かす筋肉と骨を結んでいるのが、「腱」という組織です。筋肉と連動することで、手指や手首を曲げ伸ばししています。
手首、指の関節には20本以上の腱があり、関節の曲がり角にそれぞれ腱鞘と呼ばれるトンネルがあり、どの角度でもしっかりと腱が作用して手首や指が曲げられるようになっています。
腱は「腱鞘」という鞘(さや)で包まれていますが、この腱鞘で炎症が起こっている状態を「腱鞘炎」と呼びます。痛みや熱感などの症状を伴い、日常生活に支障をきたします。
腱鞘炎の原因
腱鞘炎の原因は、手や指の使い過ぎです。手や指を酷使する仕事をしている人、スポーツをする人は、腱鞘炎を発症するリスクが高くなります。
近年では、新型コロナウイルスの蔓延により、スマートフォンの長時間使用が増えたことが原因と思われるケースも見られます。
また、筋力の弱い女性の発症も目立ちます。筋力が弱いと、腱に負担がかかりやすいためです。
腱鞘炎の症状
腱鞘炎を疑う症状には以下のようなものがあげられます。
- 手のひら側の指の付け根の痛みや腫れ・熱感
- 指の曲げ伸ばしをスムーズにできない
- 指の曲げ伸ばしの際に引っかかりを感じる
- 指のこわばり、動かしにくさがある
- 指が曲がったまま伸ばせない
- 曲がった指を伸ばそうとするとばねのように跳ねる
- 手首の親指側の腫れ、痛み
- 物を持つとき、瓶の蓋を開けるときなどの手首の痛み
- 手首を動かしづらい、回しづらい
病名の違い
前述までの原因で、腱鞘炎を引き起こしますが、場所によっては、よく引き起こされることが多い病気として名前がついている場合があります。
ドゥケルバン病
母指(親指)を広げると手首(手関節)の母指側の部分に腱が張って皮下に2本の線が浮かび上がります。ドケルバン病はその母指側の線である短母指伸筋腱と長母指外転筋が手首の背側にある手背第一コンパートメントを通るところに生じる腱鞘炎です。
ドゥケルバン病は、妊娠出産期の女性や更年期の女性に多く生じます。手の使いすぎやスポーツや指を良く使う仕事の人にも多いのが特徴です。
ばね指

指の付け根にある腱鞘でおこる腱鞘炎をばね指と呼んでいます。
指の靱帯性腱鞘が終わる指の付け根付近に力がかかり炎症を生じやすいところがあります。その部分の腱や腱鞘が炎症を起こし、“腱鞘炎”になり、さらに進行すると引っ掛かりが生じばね現象が起こります。
治療
腱鞘炎の治療は、安静、ステロイド注射、手術になります。しかし、何度も再発している人にとっては、注射や手術は嫌なものです。そのために、痛みと症状を楽にする保存療法があります。
テーピング

まず、安静にするうえで使わない、多少使っても痛みが出ないようにするためには、テーピングという方法もあります。テーピングだけでも痛みは出にくくなりますが、かぶれやすい等、何度も、または長期間使用できないこともあります。
ショックウェーブ

ショックウェーブ治療は、整形外科、美容外科、理学療法、スポーツ医学、泌尿器科、リハビリテーション、カイロプラクターおよび獣医学など、幅広い分野で取り入れられ、欧州、北米、南米、中東、アジアなど世界中で使用されている最新機器です。当院では日本で初めて導入された最新器具です。
ショックウェーブは、筋筋膜・腱の疼痛緩和に即効性が高く、効率的な治療ができます。
ということは、原因不明の慢性腰痛やスポーツによる捻挫や靭帯損傷等にも効果を発揮します。
最近では、体外衝撃波として一部の整形外科でも使われるようになってきました。
超音波

腱鞘炎の状態によっては、超音波を使用することもあります。衝撃は同様に、超音波も痛みなく治療を受けることができます。患者さんの状態を把握し、診断したうえでどの治療法が最適なのか治療プランをご提案します。